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“肝臓の沈黙”に気づくために〜消化器内科でできること〜

投稿日:2025年12月4日 更新日:

肝臓は“沈黙の臓器”と言われる理由

静岡県浜松市のATSUSHIメディカルクリニック、院長の鈴木淳司です。

肝臓は、私たちの体の中でも特に多くの役割を担っている重要な臓器です。
肝食べたものをエネルギーに変換したり、アルコールや薬を分解したり、不要な物質を解毒するなど、まさに体の化学工場のような存在です。

それほど大切な働きをしているにもかかわらず、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。
その理由は、肝臓には痛みを感じる神経がほとんど通っておらず、多少のダメージを受けても自覚症状が出にくいからです。
つまり、気づいたときにはすでに病気が進行していた、ということも少なくありません。
「最近なんとなく疲れやすい」「肌がかゆい気がする」「食欲が落ちてきたかも」こうした小さな不調も、実は肝臓が発している“静かなサイン”である可能性があります。

日々の忙しさのなかで見逃しがちなこうした違和感にこそ、注意を払う必要があります。

脂肪肝・肝機能異常は放置しないで

健康診断で「肝機能の数値が高いですね」と指摘された経験はありませんか?
AST(GOT)やALT(GPT)といった数値が基準を超えていると、肝臓に何らかの負担がかかっている可能性があります。

最近増えているのが「脂肪肝」です。これは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積された状態で、長期間放置すると「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」という炎症を伴う病気に進行することもあります。

さらに悪化すると、肝硬変や肝がんに至るリスクも高くなります。
「お酒を飲まないから関係ない」と思っている方も要注意です。
脂肪肝は、過食や運動不足、ストレスなど、日常の生活習慣によって引き起こされることが多く、飲酒をしない人でも誰にでも起こり得ます。

また、肝臓の異常は糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病とも深く関わっており、肝臓のケアは全身の健康維持にもつながります。
小さな異常のうちに対処することが、将来のリスクを減らす第一歩です。

消化器内科での検査と生活指導

消化器内科では、血液検査や腹部エコー検査などを通じて、肝臓の状態を詳しく調べることが可能です。
「健康診断で異常を指摘されたけど、どうすればいいのかわからない」そんなときこそ、専門の医師に相談してみてください。

当院では、検査結果に基づいて、患者様の生活に合わせた具体的なアドバイスを行っています。たとえば、次のような生活習慣の見直しが有効です。

  • 食事は腹八分目を意識し、脂質・糖質の摂取を控えめに
  • アルコールは週に数回、休肝日を設ける
  • ウォーキングや軽いストレッチを日常に取り入れる
  • 質の良い睡眠とストレスケアも大切な要素です

また、必要に応じて、肝臓の線維化の程度を評価する特殊な検査を行うこともあります。
検査は一度きりで終わりではなく、定期的なフォローアップを通じて、肝臓の状態を見守り続けることが重要です。
生活改善と聞くと「全部完璧にやらなきゃ」と思ってしまいがちですが、そうなると継続が難しくなります。
当院では、今できることから少しずつ始めるということを大切にし、患者様と一緒に取り組む姿勢を大切にしています。

まとめ

肝臓は、毎日黙々と働き続けてくれている、まさに縁の下の力持ちのような存在です。
その静かな働きの中で生じる小さな異変を、私たち自身がしっかりと受け止めることが、健康を守るうえで非常に重要です。

「なんとなく調子が悪い」「健康診断で数値が気になる」そんなときには、ぜひ一度消化器内科を受診してみてください。
専門的な検査やアドバイスを通じて、ご自身の体の状態を正しく理解し、早めに対応することで、未来の健康リスクを大きく減らすことができます。

“沈黙の臓器”である肝臓に、そっと耳を傾けること。
それが、安心して日々を過ごすための第一歩です。

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