逆流性食道炎ってどんな病気？
静岡県浜松市のATSUSHIメディカルクリニック、院長の鈴木淳司です。
食後に胸のあたりが熱くなる、喉の奥がヒリヒリする、朝起きたときに口の中が苦い、そんな経験はありませんか。
これらは、逆流性食道炎に見られる典型的な症状です。
逆流性食道炎とは、胃の中の酸や食べ物が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を引き起こす病気です。
本来、胃と食道の境目には逆流を防ぐための筋肉（下部食道括約筋）が存在しますが、加齢や生活習慣の影響でこの働きが弱まると、胃酸が食道に上がってきやすくなります。
食生活の欧米化や高齢化により、日本でも逆流性食道炎を訴える方が年々増加しています。ある調査では、成人の約10〜20％が何らかの逆流症状を感じたことがあるとも言われています。
代表的な症状には以下のようなものがあります。
- 胸やけ（みぞおちから胸のあたりが焼けるような感覚）
- 呑酸（すっぱい液体や苦味が喉まで上がってくる）
- 胃もたれ、げっぷ、喉の違和感、咳、声のかすれ など
中には、はっきりとした自覚症状がないまま進行してしまうケースもあります。
「年齢のせいかな」「疲れているだけかも」と見過ごさず、気になることがあれば早めの受診をおすすめします。
胃カメラでわかる“食道の炎症”とその程度
逆流性食道炎の診断には、上部消化管内視鏡、いわゆる「胃カメラ」が非常に有効です。
口または鼻から細いカメラを挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察することで、肉眼で病変の有無を確認できます。
胃カメラによって分かることは、次のような内容です。
- 食道の粘膜に炎症（びらん・潰瘍）があるか
- 食道と胃のつなぎ目の状態（緩みやヘルニアの有無）
- 胃の状態（慢性胃炎、ピロリ菌の有無、ポリープなど）
炎症の程度は「ロサンゼルス分類」と呼ばれる基準でGrade A〜Dまで分けられており、Grade Aが軽度、Grade Dが重度の炎症を示します。
浜松市にある当院ATSUSHIメディカルクリニックでは、鎮静剤を使った「眠っているうちに終わる胃カメラ」も導入しています。
「以前の検査がつらかった」「怖くてためらっている」という方でも、安心して受けていただけるよう配慮しています。
生活習慣と治療のポイント
逆流性食道炎の治療では、薬による症状の改善と、生活習慣の見直しが両輪となります。
まずは、胃酸の分泌を抑える薬（PPIやP-CABといった種類）を内服し、炎症を鎮めます。症状が軽くなれば、薬を徐々に減らしていくことも可能です。
ただし、薬だけでは再発のリスクが残ります。
日々の生活習慣を見直すことが、根本的な改善につながります。
以下のポイントを意識してみましょう。
- 食べ過ぎに注意：腹八分目を心がけましょう
- ゆっくり食べる：よく噛むことで消化を助け、げっぷや逆流を防ぎます
- 刺激物を控える：脂っこいもの、辛い料理、チョコレート、アルコール、炭酸飲料は胃酸分泌を促進します
- 食後すぐに横にならない：食後2～3時間は体を起こして過ごすのが理想です
- 寝るときは上半身を少し高く：枕やクッションで頭を高くすると逆流防止になります
- 禁煙・減量を心がける：喫煙や肥満は症状を悪化させる要因です
また、ストレスや睡眠不足も胃腸の働きに影響します。
医師と一緒に「無理のない対策」を考えることも大切です。
まとめ
逆流性食道炎は命に関わる病気ではありませんが、放置することで食道の粘膜が傷つき、バレット食道や食道がんへ進行するリスクが高まることもあります。
症状が軽いからと放置せず、早めに検査や治療を受けることで、日常生活の質（QOL）を守ることができます。
「胸やけくらいで受診するのは大げさかな」と思わず、少しでも気になる症状があるなら、ぜひご相談ください。
当院では、患者様一人ひとりの症状や生活背景に合わせた丁寧な診療を行っています。
初めての方でも、安心して受診いただけるようスタッフ一同でサポートいたします。