静岡県浜松市のATSUSHIメディカルクリニック、院長の鈴木淳司です。
腹痛や胃もたれ、下痢や便秘といった消化器の不調を感じたとき、「どの診療科を受診すればいいのか分からない」と悩んだ経験はありませんか。
病院の案内を見ると「消化器内科」「消化器外科」という二つの診療科があることに気付き、どちらを選ぶべきか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
どちらも「消化器」を専門に診る科でありながら、役割や治療内容には違いがあります。 本記事では、消化器内科と消化器外科の違い、それぞれの診察内容、受診の判断基準について、分かりやすく解説します。
消化器内科での診察・治療は?
消化器科は、口から始まり食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門までの「消化管」と、肝臓、胆のう、膵臓といった「実質臓器」を扱う診療科です。
その中でも消化器内科は、これらの臓器に関する病気を主に内科的な方法で診断・治療する専門分野です。
対象となる病気は多岐にわたります。代表的なものには以下のようなものがあります。
- 食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんなどの悪性腫瘍
- 食道ポリープ、胃ポリープ、大腸ポリープなどの良性腫瘍
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎
- 急性・慢性膵炎、肝硬変、脂肪肝
- 腸閉塞の初期症状、過敏性腸症候群
- 一時的な腹痛、嘔吐、下痢、風邪に伴う胃腸症状など
消化器内科では、まず問診と触診を行い、必要に応じて以下のような検査を実施します。
- 血液検査・尿検査
- レントゲン検査
- 内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)
- 超音波検査(腹部エコー)
- CT・MRIなどの画像検査
これらの検査結果をもとに、薬物療法や食事指導、生活習慣の改善などを行います。
また、がんなどの病気に対しては、放射線療法や抗がん剤による化学療法などの内科的治療も提供されます。
消化器外科での診察・治療は?
一方、消化器外科も同様に、消化管や実質臓器を対象とした診療科ですが、大きな違いは「外科的治療」、つまり手術による治療を行う点にあります。
診療対象となる病気には以下のようなものがあります。
- 胃がん、大腸がん、膵がん、肝がんなどの消化器がん
- 虫垂炎(いわゆる盲腸)、胆石症、胆のう炎
- 消化管穿孔、腸閉塞などの緊急疾患
- ヘルニア(脱腸)などの外科的処置が必要な疾患
消化器外科でも、診察の初期段階では内科と同様に問診、視診、検査(血液検査、レントゲン、CT、内視鏡など)を行います。
症状や病気の進行度によっては内服治療や化学療法を行う場合もあります。
ただし、がんや胆石、腸閉塞といった病気では、病状の進行に応じて腹腔鏡手術や開腹手術などの外科的アプローチが必要になることがあります。
手術が必要となる場合でも、患者さんの状態や希望を尊重しながら治療方針を丁寧に説明し、相談のうえで決定していきます。
「外科だからすぐに手術になるのでは」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、実際は患者一人ひとりに合わせた慎重な判断が行われています。
消化器内科と消化器外科、迷ったらどちらを受診すべき?
「内科は薬の治療、外科は手術の治療」という違いはあるものの、診療の対象となる臓器や病気には重なる部分も多くあります。
また、問診や検査の内容も似ているため、初診の段階でどちらを選ぶかで悩む必要はありません。
以下のように考えると判断がしやすくなります
- 一時的な腹痛、下痢、嘔吐などの軽い不調や風邪に伴う胃腸症状 → 消化器内科
- 健診などで異常を指摘された場合や、まず薬で様子を見たい場合 → 消化器内科
- 手術の必要があるかもしれないと医師に言われた、もしくは強い痛みがある → 消化器外科
どちらを受診しても、診察や検査の結果をふまえて、必要であれば適切な診療科に紹介されるため安心です。
たとえば、消化器内科を受診して手術が必要と診断された場合は、消化器外科に連携が取られます。逆も同様です。
そのため、通院しやすさや相談しやすさを重視して、気軽に受診して問題ありません。
特に症状がはっきりしていない場合は、まずは内科を受診し、必要に応じて外科に案内してもらう流れが一般的です。
まとめ
消化器に関する診療科には、「消化器内科」と「消化器外科」があります。
両者ともに、胃や腸、肝臓、胆のう、膵臓といった臓器を対象にしている点では共通していますが、大きな違いは治療方法にあります。
- 消化器内科:薬や生活指導による内科的治療を中心に行う
- 消化器外科:手術を含む外科的治療が可能
体調に変化があり、受診を検討している場合は、どちらを選んでも診療は受けられます。
「手術が必要かどうか分からない」「まず相談だけしたい」という場合は、気軽に消化器内科を選んで受診してみましょう。
何より大切なのは、体の異変を放置せず、早めに医師に相談することです。
お腹の不調を感じたら、我慢せず医療機関にかかることをおすすめします。