静岡県浜松市のATSUSHIメディカルクリニック、院長の鈴木淳司です。
難病にも指定されている「潰瘍性大腸炎」は、近年患者数が増加している疾患です。
ここでは、大腸カメラで発見できる「潰瘍性大腸炎」という病気の原因・診断・治療方法を紹介します。
潰瘍性大腸炎の原因
現在、潰瘍性大腸炎の明らかな原因ははっきりとはわかっていません。
免疫異常や腸内細菌、遺伝的要因が関与していると考えられています。
<潰瘍性大腸炎の疑いがある症状>
・下痢
・下腹部の痛み
・血液が混じった便
・ねばねばした粘液が混ざった便
・大量の下血
など
このような症状があれば、潰瘍性大腸炎の可能性も考えられます。
症状が悪化すると、発熱や頻脈などの全身症状があらわれることもあるため、早めに病院を受診しましょう。
潰瘍性大腸炎の診断
潰瘍性大腸炎の診断
病院を受診すると、まずは医師による問診がおこなわれます。
その後、血液検査や便の検査、大腸カメラなどの各種検査が実施されて、潰瘍性大腸炎かどうか総合的に診断されます。
これらの検査において、主な役割を担うのが大腸カメラです。
大腸カメラは、大腸にカメラを挿入して実際に大腸の状態を肉眼で確認するという検査です。
大腸の粘膜を観察して、病変の範囲や炎症があるかどうかなどを確認できます。
さらに他の病気もあるか調べるために、大腸カメラの検査時に細胞を採取して、顕微鏡で詳しく調べることもあります。
潰瘍性大腸炎の重症度分類と特徴
潰瘍性大腸炎は、大腸カメラの所見によって軽度・中等度・強度に分類されます。
また炎症の範囲によって「直腸炎型」、「左側結腸炎型」、「全大腸炎型」、「右側結腸炎型」の4つのタイプに分類されています。
症状が落ち着いた状態(寛解)と症状が活動的になっている(再燃)を繰り返し、慢性化しやすい疾患です。
潰瘍性大腸炎の症状が長期化すると、大腸がんの発症リスクも高くなります。
症状が落ち着いたと思っても、大腸カメラで確認すると炎症が見られることもあります。
潰瘍性大腸炎だとわかったときには、必ず定期的な大腸カメラを受けるようにしましょう。
潰瘍性大腸炎の治療方法
潰瘍性大腸炎は、症状や重症度にあわせて、複数の治療がおこなわれます。
薬を使った治療
・5-アミノサリチル酸製剤
軽症から中等症の方に使われる薬です。
炎症を抑えつつ、炎症が再燃しないように働きます。
内服薬だけでは症状のコントロールが難しい場合もあります。
座薬や注腸の外用薬は、内服薬が届きにくい直腸やS場結腸に高濃度の薬剤を直接届くため、内服薬とあわせて使うことで症状のコントロールがしやすくなります。
また症状によっては外用薬のみ使う方もいます。
・ステロイド製剤
中等症から重症の方に使われる薬です。
炎症を強く抑えます。
内服薬と点滴があり、重症の場合は入院して点滴治療を受けることもあります。
自己判断で中止や減量をしたときには、副作用が出やすくなるため、医師の指示を守った使用が大切です。
・チオプリン製剤
ステロイド薬を減量・中止したときに症状が再燃してしまう方に使います。
炎症が激しい時には使わずに、炎症が落ち着いた後に使います。
・生物学的製剤
炎症を引き起こす物質の働きを阻害する薬です。
ステロイド製剤が無効の方や、ステロイドを減量・中止したときに症状が再燃するような中等症~重症の方に使います。
・免疫調節薬
タクロリムスやシクロスポリンといった成分です。
内服や点滴があります。
ステロイド製剤が無効の方や、ステロイドを減量・中止したときに症状が再燃するような方に使います。
薬以外の治療
・血球成分除去療法
炎症を引き起こしている血液中の成分を取り除くことで、炎症を抑える治療方法です。
5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド製剤、チオプリン製剤を使っている方で、症状が再燃したときに使います。
まとめ
難病に指定されている「潰瘍性大腸炎」は、大腸カメラで発見できる病気です。
定期検査で便潜血が陽性になった場合や、潰瘍性大腸炎のような気になる症状があるときには、静岡県浜松市にある当院までお気軽にご相談ください。