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人間ドックではどのような検査を受けるの?
静岡県浜松市のATSUSHIメディカルクリニック、院長の鈴木淳司です。
人間ドックは、企業で実施される定期健康診断とは異なり、法律で義務づけられているものではありません。
また、「何歳から受けなければならない」という明確な決まりもありません。
しかし、人間ドックは、がんや生活習慣病といった重大な病気の早期発見や、今後の発症リスクの把握を目的とした、非常に重要な検査です。
標準的な人間ドックの検査項目には、身体計測(身長・体重・BMIなど)、視力検査、聴力検査、尿検査、便潜血検査、血液検査、眼圧・眼底検査、心電図、腹部超音波(エコー)検査、胃のバリウム検査または胃内視鏡検査、肺機能検査などが含まれます。
さらに、自身の体調や家族歴に応じてオプション検査を追加することができます。
例えば、脳の病気が心配な方には頭部MRI・MRA検査、女性なら子宮頸がんや乳がんの検診、また全身のがんを対象とするPET-CT検査などがあります。
これらのオプションは、自分の不安やリスクに合わせて選択できるのが人間ドックの大きな特徴です。
また、日帰りで受けられるコースから、1泊2日でじっくりと受けられる宿泊型ドックまで、受診スタイルも選ぶことができます。
宿泊型の場合、宿泊施設は医療機関内の専用施設であったり、近隣のホテルが指定されていたりします。
検査内容によっては、前日の食事制限が必要になることもありますが、それ以外は通常のホテルのように快適な食事や環境が用意されていることが多く、「検査」と同時に「リフレッシュの時間」として利用される方も増えています。
人間ドックは何歳から受けるのが理想的?

人間ドックに受診義務はなく、年齢による制限もありません。
極端にいえば、20歳以上であれば誰でも受けることができます。ですが、「会社の健康診断を毎年受けているから、それで十分」と考える方も少なくありません。
確かに、企業健診と人間ドックには共通する検査項目も多く、内容が似ている部分もあります。
しかし、人間ドックはあくまで病気を「未然に防ぐ」ことを目的としており、健康診断よりも詳細な検査を行うことが可能です。
例えば胃の検査ひとつをとっても、健康診断ではバリウム検査が主流ですが、人間ドックでは内視鏡検査を選択することで、より正確に粘膜の状態を確認できます。
多くの方は、40代以降から体の変化や不調を感じ始めます。体力の低下や不定愁訴(原因のはっきりしない不調)など、「何となく調子が悪い」という感覚が出てくるのもこの頃です。
そうした変化をきっかけに人間ドックを始める方が多いですが、理想としては30代から年に1回の受診を習慣づけておくことをおすすめします。
年齢に関わらず、体の状態を知ることは、健康維持への第一歩です。
若い世代には人間ドックは不要?

20代や30代のうちは、健康診断で異常が見つかることも少なく、自覚症状もほとんどないため、「人間ドックを受ける必要はない」と考える方も多いのが現状です。
特に20代は、仕事やプライベートが忙しく、体調不良も気力や体力で乗り越えてしまうことが多いでしょう。
しかし、実はこの「自覚症状がないとき」こそが、人間ドックを受けておく絶好のタイミングでもあります。
病気は、発症するずっと前から少しずつ体内で進行している場合も多く、初期の段階では症状が出ないことがほとんどです。
症状が出たときにはすでに進行していた、というケースも少なくありません。
20代では確かに病気のリスクは低い傾向にありますが、30代に入ると仕事の責任も増え、生活習慣も乱れやすくなります。
食事の偏り、睡眠不足、運動不足、過度なストレスなどにより、生活習慣病のリスクが高まる年代です。
とくに男性ではメタボリックシンドロームの兆候が見られる方も出てきます。
こうした背景から、30代に入ったら年に一度は人間ドックを受け、自身の健康状態を客観的に把握しておくことが大切です。
自覚症状がないからこそ、検査で状態を把握し、今後の生活に活かしていくという意識が求められます。
まとめ
人間ドックは、将来の健康を守るための「投資」であり、健康寿命を延ばすための重要なツールです。
とはいえ、会社の健康診断や自治体の健診と異なり、通知が来るわけではなく、自ら予約して費用を支払って受ける必要があります。
そのため、「手間がかかる」「費用が高い」といった理由から、受診をためらう方もいるかもしれません。
しかし、健診では網羅されない部分まで細かくチェックできる点、人間ドックならではの丁寧な検査が受けられる点は大きなメリットです。
自分の体に対してより深く理解を持つことができ、予防や生活改善にもつながります。
若いうちからの習慣が、将来の健康に大きく影響を与えます。
年齢に関わらず、自分の体を知る機会として、人間ドックを活用してみてはいかがでしょうか。
毎年の人間ドックが、5年後・10年後の健康と安心につながることは間違いありません。